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てんぷら みかわ
 茅場町のひっそりとした路地裏にその店はあった。店内にしつらえてあるフトイという名の植物は曲がることを知らないかのように凛としてまっすぐ上に伸びていた。我々よりも先にいた客にてんぷらを揚げていた店主のまとっている雰囲気は、そのフトイとどこか似ている気がした。
 車えびと煽りいかはそれぞれ順番にレアのものとウェルダンのものが差し出される。てんぷらと寿司。どちらが生ものかと問われれば誰しもが「寿司」と答えるだろう。しかしそれは大きな間違いらしい。火の通りが異なる2つのネタは、それを理解させるのに十分な役割を果たしていた。次に穴子。揚げ油の熱を写し取った金属製の箸で店主が目の前で穴子を2つに切った時、ジュワッと湯気が立ち上りった。それは鮮度を誇示しつつ、ふわりと消えた。今まで味わったことのないほっこりとした食感に驚かされる。椎茸や茄子にも驚かされた。「肉汁」と表現したくなるほどのみずみずしさがつまっているのだ。
 遠方からわざわざ訪れる客がいるのもうなずける。

場所:東京都中央区日本橋茅場町